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第13回三島クリニック講演会

2014年2月9日開催

 講師   東邦大学医療センター大橋病院 腎臓内科
    
   准教授  常喜 信彦 先生
         
 演題   「肝“腎”かなめ? 肝“心”かなめ?」


【講演内容】 

慢性腎臓病(CKD)は国民病ですので気をつけるよう啓蒙していますが、ネーミングが悪いためか「メタボ」のように広まらないのが残念です。

 腎臓は、「生命の根源を宿す臓器として、心臓に次いで大切」、「老化現象は腎の衰え」といわれたり、「腎」という漢字は「体の中を監視して操作をしている臓物」ということを表していることなどから、腎臓は大切な臓器であることが分かります。
 また、腎臓が悪くなると動悸や息切れといった胸の症状が出ることや、1個の重さがたかだか120~130g程度(野球のボールと同じくらい)の腎臓に、心臓からの送りだされる血液のうち20%が流れていることから、腎臓は非常に大切な臓器であり、心臓と密接な関係があることが分かります。だから、腎臓のことを知ると同時に心臓のことも知っておかなければいけません。

 腎臓の働きは、「体の内部環境を整える!」ことです。
 具体的な仕事は、
  
排泄:体液の調節
   1、体の中の水分を一定量に保つ
   2、電解質(ミネラル)の濃度を一定に保つ
   3、尿毒素を溜まらないようにする
  
ホルモン・ビタミンの分泌・代謝
   1、造血ホルモン:エリスロポエチンの分泌
   2、骨代謝:ビタミンDの活性化
   3、血圧調整:レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系
などです。腎臓が内部環境を整えることによって、脳を始めとする全ての臓器が心地よく十分に働くことができます。しかし、腎臓が本来の働きができなくなれば、できない仕事の一つ一つが心臓に深く関わってきます。

 日本人の主要死因は、1位が悪性新生物(癌)(29%)、2位が心疾患(16%)ですが、透析患者さんの主要死因は、1位が心疾患(32%)、2位が感染症(21%)となっています。だから、患者さんもそれらに対して気をつけていかなければいけないし、医療者側も何ができるか考えていかなければいけないと思います。、
 ここからは、「肝“心”かなめ」と書いて本当に大切なことは心臓にあるんだというをお話したいと思います。
 心臓は血液を送るポンプで、メインのポンプは左心室です。血液は左心室から全身の臓器に送られ、次に右心房に戻り→右心室→肺→左心房→左心室という循環を一生繰り返しています。
 心臓は厚さ8mm程度のしなやかな筋肉でできており、心筋を動かすエネルギー源は糖と酸素ではなく脂肪酸と酸素です。心臓自体に栄養や酸素を送り込んでいるのが心臓を取り囲んでいる冠動脈といわれる血管で、これが狭くなったり詰まったりする病気が狭心症や心筋梗塞といわれるものです。心臓は袋状の二重の膜で包まれていて、その膜の間には摩擦をなくすためわずかな水が溜まっています。また、心臓の4つの部屋には弁があり、血液が逆流しないようになっています。

 心筋、冠動脈、心外膜、弁のどれが悪くなっても心臓の病気ですが、どれが悪くなったから問題だというわけではなく、一番心臓が病む原因は心臓の形が変わっていくことです。それを心リモデリング(心再構築)と言います。例えば、心臓の部屋が大きくなる(特に左心室)、心筋が厚くなる・増えることなどです。少し難しく言うと、心リモデリングは心臓の病気の種類に関係なく、心機能の低下を補おうとする代償作用の長期化によって心筋の線維化(いわゆる心臓の過労)がおこり心臓の形が変わっていくことです。心リモデリングが進むと、うっ血性心不全、末期心臓病、心臓死へつながっていくことになります。 
 心リモデリングを起こさないためには、心臓が働き過ぎないようにすること、働き過ぎになる原因を作らないようにすることが今最も大切なことです。残念ながら心臓のリモデリングが起こってしまったら長生きはできなくなりますが、短期間であれば戻すことができます。キーワードは「心臓のリモデリングが起こらないような(=心臓の形が変わらないような)工夫をする」ということです。

 心臓の筋肉が壊れる(=心臓の形が変わる)ことを心筋症といいます。心筋症は心臓に何かストレスがかかることで起こる非虚血性心筋症と心筋の酸素/エネルギー不足が原因で起こる虚血性心筋症の二つに分けることができます。

 心リモデリングの原因の主なものは、
塩のとり過ぎ、貧血、リンが高い、などです。
 まず、塩をたくさん摂取すると血液の血漿浸透圧が上がるため、それを薄めようと水が細胞内より血液側に出てきます。それにより口渇中枢細胞が縮み水が飲みたくなります。水を飲むと血液が薄まって血漿浸透圧が正常に復しますが、血液量は増えます。腎臓が悪くない人なら尿量が増えて血液量が元に戻りますが、透析患者さんでは尿量がほとんどないため塩分を摂り過ぎると血液量が増えたままの状態となります。
 量の増えた血液を全身に送り出さなければいけない心臓はものすごく仕事をしますし、同時に心臓自身もパンパンになり壁にかかる圧力も高くなります。心臓の部屋を大きくしたり圧力が高くなったりする期間が長ければ長いほど心臓は形を変えていきます。その状態に順応しようと形を変えていくのです。

 貧血とは、ヘモグロビン(Hb)という酸素を運搬する色素が減ることです。ヘモグロビンが減り酸素が十分に供給されなくなると全身の臓器の末梢血管は拡張します。末梢血管の拡張によって血圧が下がりますが、それを上げようと交感神経活動が活発になり、心臓に働きかけ心拍数をふやし全身の臓器へより多くの血液を送ろうとします。即ち、ヘモグロビンが下がると心臓の仕事量が増えるということです。心臓の仕事量が増えた状態が長く続けば続くほど心臓の部屋が大きくなること(心拡大)や心筋が厚くなること(心肥大)によって心臓の形が変わっていきます(心リモデリング)。

 塩分の取り過ぎと貧血が独立して起こるならまだしも、両方が重なることによってより大きな負担を心臓にかけてしまいます。

 心臓の大きさを知るには、心臓と胸郭の比をとって心胸郭比(心胸比:CTR)を算出します。心胸郭比をみることによってドライウェイトの指標にしたり、心臓のリモデリングが進んでいないかの確認ができます。心電図は、心臓の部屋に圧力がかかり過ぎていないか、心筋が厚くなっていないかを知るすべになります。

 ヘモグロビンが低いほど心臓は大きくなることが分かっています。また、心胸郭比が50%を超えるリスク(危険度)は、ヘモグロビン10.0~10.9 g/dlの時を1とすると8.0~8.9 g/dlでは1.5倍、7.0~7.9 g/dlではほぼ2倍になります。

 次にリンについてですが、リンは老化に関わっていることが分かってきています。また、リンが高い人は細胞の性格が変わります。血管の周りには血管をしぼませたり拡げたりする血管平滑筋細胞というのがありますが、リンが高い人はこの血管平滑筋細胞が骨をつくる骨芽細胞に変化します。この骨芽細胞によって血管の中に骨がつくられます。これが石灰化です。石灰化というのは血管やいろいろな所に骨ができているということです。
 石灰化(骨化)は心臓を取り囲む冠動脈にも起こります。冠動脈に石灰化が起こり血管内腔が狭くなったり、あるいは狭くはなっていないが血管そのものが骨化して硬くなってしまうと心筋が酸素/エネルギー不足になります。特に血圧が高い人、脈拍が速い人、貧血の人、体重の増える人、そういう人達の心筋は多くの酸素を必要とするのにそれが十分供給できないため、心臓の負担がさらに大きくなり心臓の形が変わっていくことになります。いわゆる虚血性心筋症です。
心臓の弁にも石灰化(骨化)は起きます。弁が硬くなって動きが悪くなると全身に十分な血液を送ることができません。これも心臓の形を変える原因になります。

 心臓に何か起こっているサインは、①息が切れる、②胸が重い、苦しい、圧迫される、痛い、③動悸がする、④意識を失う、失いそうになる、などです。

 普段なじみのある身近なものが心臓にストレスを加えています。それは今心臓が元気な人も、数年前に心臓を病んだ人でも変わりはありません。どちらにしても、塩・リン・貧血・体重・血圧 などが心臓に負担をかけ、心臓の形を変えているのです。ぜひ、心臓のリモデリングが起こらないように工夫し、これからも元気に生活していただきたいと思います。


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