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第6回三島クリニック講演会

2006年2月12日開催

 講師   大阪府立急性期・総合医療センター
       腎臓内科部長
         椿原 美治 先生

 演題   「これからの透析療法をどの様に乗り越えるか」
         〜元気で長生きするためには〜
【講演内容】

 1972年当時の透析療法適応基準は、15歳〜45歳の患者さんで、糖尿病性腎症やガンなどの生命予後不良な疾患ではなく、仕事が出来る人に限る(人工透析研究会会誌による)となっていました。この厳しい基準は、透析台数の不足や透析技術の未熟さのため合併症を持った患者さんには対応できないことが原因でした。
 その後透析技術の進歩や更生医療の適用によって、透析患者数は増加の一途をたどっています。特に、糖尿病から透析に入る患者さんの増加が著しく、また透析導入患者さんの高齢化が顕著になってきています。

 透析患者さんの増加に伴って、透析医療費は国民総医療費の30分の1を占めるまでになり、国としては「小さな政府」を目指す中で透析医療にかかる費用は切り捨てられる方向に向かっています。透析医療費の削減を目的にした透析診療報酬改定が次々と行われる状況の中では、政府(厚生労働省)頼みではなく、「自分の身は自分で守る」ということが大事です。

 長生きするためには、透析時間が重要です。透析時間が通常3時間あるいは3時間半であるアメリカでの死亡率が高いことからも明らかなように、透析時間の短縮化は透析患者さんの生存率を低くします。高血流による短時間透析では、体中の毒素を抜くことは出来ませんので透析時間はできるだけ長くしましょう。

 
腎臓の機能が正常であれば、余分なものを尿中に排泄することによって体の中の水の状態は一定に保たれるのですが、腎不全の患者さんでは「出口が狭い」、すなわち口から入ってくる食物に対して、それに見合った処理ができません。だから、透析患者さんでは必然的に口から入る物を制限(食事療法)しなければいけません。
 また、日常生活をしている時間の方が透析時間に比べて圧倒的に長く、「自分の身は自分で守る」ということはこの日常生活においていかに自己管理(=食事療法)が出来るかということにかかっています。この日常生活においての自己管理こそが、患者さんにとっての本当の意味での透析療法なのです。

 自己管理のうち最も重要なのは透析間の体重増加で、統計によりますと体重増加が多い人ほど長生きはできません。透析間の体重増加はドライウエイトの5%以内(ドライウエイト50kgの人なら2kg以内)にしましょう。
 また、透析中に血圧が急に下がりやすい人や透析終了後立ち上がると血圧が下がる人は長生きできません。糖尿病がある方や高齢の患者さんでは、動脈硬化や自律神経障害のため除水すると急激に血圧が下がったり、透析後立ち上がった瞬間に血圧が下がることがよくあります。こういう方たちは、透析間の体重増加を多くしないように、より一層気をつけることが重要です。さらに透析時間を長くしてゆっくり除水すれば急激な血圧低下は防止できます。

 
 日本人全体でみた死因は、第1位はガン、2位は心臓病、3位は脳卒中ですが、透析患者さんに限ってみるとその死因は、第1位が心臓病、2位が感染症、3位が脳卒中です。また、透析新規導入患者の1年以内の死因と1年以上維持透析をしている患者の死因が同じことから、透析導入時からすでに多くの患者さんが心血管合併症を持っていることが分かります。これは、透析導入患者の平均年齢が65.4歳、その4割以上が糖尿病性腎症であるということが関係していて、透析導入後さらに悪くなることが心臓病での死亡率を高めることにつながっていると考えられます。
 冠動脈疾患の治療は非常に進歩してきていて、それが原因で亡くなる人は少なくなってきています。冠動脈疾患があると透析中の血圧が下がりやすいので、血圧を下げないためにも冠動脈疾患の検査をぜひ受けていただきたいと思います。

 次にリンについていうと、透析前リン値を5.5mg/dl以下にすることを徹底することが必要です。リン値が高いとカルシウムと結合して、骨以外の血管や関節などに石灰化が生じ動脈硬化や関節痛を起こしたり、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌を促し骨が溶け骨折などが起こります。また、蛋白質が多い食物はリン含有量も多いので、リン値を上げないためには適正量の蛋白質を摂り、リン吸着薬を必ず飲むことが大切です。


透析患者さんが食欲低下などによって体がやせていった場合、その都度ドライウエイトを見直さないと過剰な水分のため心不全の原因になったり、また栄養不良のために感染症を起こしたりします。心不全と感染症は透析患者さんの2大死因です。

 栄養評価としてアルブミン値3.5〜4.0g/dlを基準にすると、それ以下では生命予後は不良であり、4.0以上すなわち栄養状態がよいほど死亡の危険度が低く、また、やせている人より多少肥満傾向(BMI:22)なほど予後が良好(死亡危険度が低い)です。

 透析患者さんにおいては、総コレステロールが高いほど健常者と同じように心筋梗塞の発症率が上がる傾向はありますが、それにもかかわらず心血管系死亡率は少なくなるというパラドックス(矛盾)があります。従いまして、長期生存のためにはコレステロールを下げることを考えるより、個々の患者さんの状態に応じたコレステロールを含めた栄養管理がより重要です。

 突然死の原因になる高カリウム血症は、カリウムの多い食品の食べすぎ・透析不足・便秘・消化管出血・感染症などによって起こります。「お盆やお正月くらいはいろいろ食べよう」というのが一番危険です。消化管出血による高カリウム血症の頻度も高いので、便の色をチェックする習慣をつけましょう。

 透析前のヘマトクリットは30〜33%が一番良く、高齢者ではそれよりやや低目が、そして若い患者さん(年齢35〜45才)では33〜36%が理想です。
 透析終了後血圧が下がって、しかも除水によってヘマトクリットが上がり過ぎたら血管が詰まりやすくなります。すなわち心筋梗塞や脳梗塞の危険率が上がりますので注意が必要です。

 透析患者さんは、原疾患の違いや年齢の違い、また合併症の有無などその背景はさまざまで、それに対する治療方針も異なるため個々に応じた治療・養生が必要です。

 
最後にまとめとして、透析患者さんが元気で長生きするためのコツは、十分な透析・十分な食事・十分な運動、そして自分で治療法を選択し、自分の体は自分で守るという気持ちを持つことです。


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