リンに気をつけましょう〔U〕

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 前回の透析室ニュースでは、「リンが高いとなぜ悪いのか」について説明しましたが、お分かりいただけましたか。分かりにくい部分もあったかと思いますが、「リンをコントロールすることは心臓や血管を守るために非常に重要なことで、それが長生きにつながる」ということだけは、ぜひご理解ください。
 なお、動脈硬化と聞くと、コレステロールという言葉を思い浮かべる方も多いと思います。確かに血液中のコレステロールは動脈硬化の重要な促進因子ですが、それは腎臓の悪くない一般の人の話です。
透析を受けている方の動脈硬化の最も重要な促進因子は「リン」であると再認識してください。
 血管石灰化による動脈硬化が進行してしまうと、現状ではよい治療法はありません。ですから、血液中のリンが高くならないように日頃から予防しておくことが大切です。

 さて、ここでリンが上がる原因はと言いますと、何より
食事からの過剰なリン摂取ということが圧倒的に多いのです。従いまして、リンを上げない基本は食事管理ということになります。検査でリンが高い場合は、まず食事の内容を反省していただく必要があります。どんなものにリンが多いのか、どれくらい食べても大丈夫か、自分自身の体のためですから、勉強して自分にあった食事管理というものを見つけてください。一般的に、たんぱく質を多く含む食品(肉類、魚類など)やカルシウムを多く含む食品(乳製品、小魚など)には、リンが多く含まれています。食べ過ぎてはいけません。いつでも気軽に栄養士に相談することをお勧めします。

 次に、リンを下げる薬についてですが、皆様の大部分の方が
リン吸着剤を服用されています。リン吸着剤(炭酸カルシウム、炭カル、レナジェル)は、胃の中で食物と混ざり、食物に含まれるリンをくっつけて、消化管(主に小腸)でリンを吸収されにくします(結果的に血液中のリンを下げます)。食物とよく混ざる必要があるということから、服用のタイミングが重要です。すなわち、食事直前、あるいは食事中か遅くとも食事直後に服用しなければ効果はありません。忘れていたからといって食後30分以上もたって服用しても効果が全然ないばかりか、かえって副作用の方が強く出ることにもなりかねません。忘れることがないよう、「食事を始める時には、まずリン吸着剤」ということを習慣にしてください。
 リンを下げる薬は大事なのは分かっているけど、飲みにくい、飲むと便秘になったりおなかが気持ち悪くなる(特にレナジェル)などといった理由で、きっちり飲めていなくて薬がたくさん余ってきているという方もいらっしゃると思います。そういう方は、勝手に服用を中止しないで、ぜひご相談ください。

 ここで話を戻しますが、
血管の石灰化は、カルシウム・リン積が60くらいになると起こりやすいということが分かっています。カルシウム・リン積とは、カルシウムとリンの値を掛け合わせたものです。なお、定期検査の後お渡ししていますレーダーチャートにはCa×Pという言葉で表しています。
 以前は、カルシウム・リン積で70以下が目標と言われていましたが、現在では55を超えると異所性石灰化が起き易いと考えられるようになっています。また、カルシウム・リン積はほとんどリンの値で決まるということがわかっていますので、
リンが高いとカルシウム・リン積は上がります。カルシウム・リン積を55以下に維持するためにはリンの値は5.5mg/dl以下が理想ということになります。
 これからは、Ca×P(カルシウム・リン積)の値にも注意して検査結果をみてください。そして、その値が少なくとも
65を絶対超えないようリンをコントロールしてください。

 高リン血症の対策として、透析でできるだけ多くのリンを除去するということも重要ですので、リンが高い人に対しては、リンの除去効率がよいダイアライザーの選択や透析時間の延長などが考えられますが、透析でのリンの除去量には限界があり、血液中の余分なリンを取りきれないのが実情です。従いまして、結局のところ、皆さんに
「食事管理とリンを下げる薬を時間をまちがえずにきっちり飲む」ということを守っていただけなければ、リンのコントロールは不可能だということをご理解いただきたいと思います。

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