シャント(ブラッドアクセス)

20号メインページに戻る

シャントとは
 血液透析で効率よく体の中に溜まった老廃物を取り除くには、1分間に150ml〜200ml以上の血液を体から引き出してダイアライザーに通す必要があります。その為には血液量の少ない静脈ではなく、血液量の多い動脈から血液を引き出さなければなりません。

 しかし、動脈は深いところにあり針を刺すのも難しく、針を抜いた後も出血が止まりにくいため、透析のたびに針を刺すということはできません。
 そこで、手術によって皮膚の下で動脈と静脈をつなぎ合わせ(バイパスさせて)、動脈の血液が直接静脈に流れるようにします。これを、「シャント」といいます。

シャントのことを、「血液透析のための血液の出し入れをする場所」という意味で「ブラッドアクセス」ということもあります。

 シャントは、通常は利き腕でない方の腕の手首に近いところに作ります(静脈の走り方できまり、なかなか理想通りにはいきません)。シャント作成後2週間ぐらいで静脈が太く発達してきます。この発達した静脈に針を刺して透析に必要な血液を引き出します。

シャントの管理
 「シャントは透析者の命綱」といわれるほど、透析を続けていくうえでシャントは非常に大切なものです。良いシャントがあって初めて十分な透析ができ、それが長生きにつながります。シャントを長持ちさせるためには、閉塞(つまること)と感染の予防が重要です。シャントの閉塞・感染予防の具体的な例をあげてみますので、次のようなことに注意してください。

 1日1〜2回はシャントが流れているかどうか確かめる習慣をつける。〔聴診器や耳をシャント部に当ててザーザーという音を聴いたり、シャント部に手を当てて血液が流れる振動(スリルといいます)があることを確認しましょう。〕

 手枕をしたり、睡眠中シャント側の腕を体の下にして圧迫しない。

 シャントをたたいたり、物に強くぶつけない。

 シャント側に腕時計をはめない。

 シャント側の腕で血圧を測定しない。

 シャント側の腕で採血をしない。

 シャント側の腕に重い物をのせたり、買い物かごや鞄などをぶらさげたりしない。(シャントの腕を使ったスポーツや運動は全く問題ありません。)

 手首の部分にゴムの入った衣類は着ない。

 針を抜いた後の圧迫を強くしすぎない。

 針を抜いた後の止血は、なるべく止血ベルトは使わず、できる限り自分で押さえて止血する。
(通常
1015分程度押さえていたら止血できます。)

 止血ベルトを使用する場合は、きつく締めすぎず指で触れてスリル(シャント血管の中を血液が流れる振動)が分かるぐらいにして、2時間以内にはずす。

 体重を増えすぎないようにして極端な徐水をしなくてもよいようにする。(過度の徐水は、血圧低下を招きシャントの血流不良の原因になります。)

 シャントの血管の細い人は、ゴムボールなどを握り血管を発達させる。

 針を刺す場所を透析のたびに少しずつずらす。(少なくとも5mmずつずらす。)

 血液中のリンをコントロールする。(血液中のリンが高いとカルシウムと結合して石灰となり、それがシャント血管の壁にくっついて血管を細く硬くして閉塞の原因になります。)

 針を刺すのを失敗して内出血した場合は、当日は冷やし翌日は暖める。

 常にシャントを清潔に保つ。

 透析をした日の入浴は避ける。(針を刺した部位を濡らしてしまうと感染の原因になります。)

 透析をした直後に針を刺した部位が濡れたら、流水できれいに洗って乾燥させる(できれば針穴をイソジンなどで消毒する)。

 止血部に貼られた絆創膏(チュウシャバンやOQバンなど)は翌日にははがす。

 シャントのある腕にかき傷やかぶれをつくらない。また、かき傷やかぶれができたらすぐに治療する。

20号メインページに戻る

シャントの閉塞の兆候としては、
 シャントの音が弱い、あるいは音が聞こえない、スリルが触れない、血管に沿って痛みがある、血管が硬く触れる、シャント側の腕が今までより冷たく感じるなどの症状があります。
また、シャントの感染の場合には、シャント部の周囲や針穴が赤く腫れて痛い、膿が出る、シャント部に熱を感じるなどの症状があります。このような異常があれば、素早い処置が必要ですので「用事があるから」とか「明日透析に行った時に」などと後回しにせず、すぐに診察を受けてください。


 シャントの閉塞は、血栓(血管内にできた血の固まり)によって起こります。早く処置を行えば、手術をしなくても血栓除去ができることも多いのですが、時間がたって完全に閉塞してしまったら再手術が必要です。また、シャントの感染がおこればシャントが閉塞しやすくなるばかりか、感染がひどくなると敗血症(菌が血液内に侵入し、高熱・寒気・関節痛・呼吸困難をひきおこす)になる恐れがあります。

シャントの合併症
 シャントの合併症には、静脈高血圧、スチール症候群、シャント瘤(「りゅう」と読み、「こぶ」のことです)などがあります。これらの合併症は、まれに発症することがあり、手術が必要になることもあります。

 
静脈高血圧
 シャントによって動脈血が流れ込むと、静脈の圧力が高くなるため手の血液が心臓の方へ返りにくくなり、手の甲や指が赤黒く腫れ痛みが出ます。

 
スチール症候群

 シャントに流れ込む血液が多くなると指先にくる血液の量が減り、指先が白く冷たくなりしびれや痛みが出ます。特に、透析時はダイアライザーの方へ血液をとられるので、指先にくる血液がさらに減少するため痛みが強くなります。

 
シャント瘤

 動脈の高い圧力の血液が静脈に流れ込むことにより、静脈の内側の膜が傷つき薄くなり瘤ができることがあります。また、同じ部位にばかり針を刺していると瘤ができます。急に大きくなったり、赤紫色に変色した場合、あるいは感染した時には破裂することがあります。



シャントは透析を続けていく上でもっとも大切なパートナーです。日頃から大事に管理して長持ちさせてください。


20号メインページに戻る

20号メニューに戻る