かゆみの原因と対策

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バーベナ(美女桜)
撮影:平成17年10月5日


 透析患者さんのかゆみの原因としてはさまざまなものが考えられますが、それらの原因が複雑に関与しあって強いかゆみになっています。

皮膚の乾燥
 透析患者さんの中には、汗を出す汗腺や皮脂を出す皮脂腺が萎縮していて、皮膚に水分が少なく乾いてカサカサになっている人が多く、それがかゆみの大きな原因になっています。従って、汗をかく人にはかゆみを訴える人が少ないのです。かゆみを減らすため日頃から汗をかく習慣をつけましょう。

 入浴は皮膚を清潔に保つという意味でかゆみ対策としては重要なことですが(皮膚が汚れているとかゆみの原因になります)、石けんの使いすぎやこすりすぎはいけません。また、ナイロンタオルの使用はやめましょう。入浴は、石けんをよく泡だてて柔らかいタオルでやさしく洗い十分石けんをすすいだ後少しぬるめのお湯につかるようにしましょう。

 入浴後は、皮膚の乾燥を防ぐための軟膏やクリームを必ず塗りましょう。特に空気が乾燥している10月から5月頃までは保湿のための軟膏・クリームは欠かせません。明らかなかゆみが現時点ではなくても日頃から保湿に関するスキンケアは必要です。 


血液中のカルシウム、リンの値が高い
 カルシウムやリンが上がると、これらが皮膚に沈着し、それによって頑固なかゆみが起きることがよくあります。また副甲状腺機能亢進症による過剰な副甲状腺ホルモン(PTH)分泌によってもかゆみが増強されます。いずれにしても、カルシウムとリン代謝の異常がかゆみの大きな原因になることは間違いありません。心臓や血管を守るためにリンのコントロールの重要性については繰り返しご説明してきましたが、かゆみ対策としてもリンを下げることが大事なのです。「最近かゆくなってきたな」と思ったら、検査データのカルシウムやリン、そしてカルシウム・リン積(Ca×P)値をよく見てください。そして、もしそれらが高いようであれば、まずそれに対する対策をとることが治療の第一歩です。


尿毒素の蓄積
 かゆみの原因となる尿毒素がなんであるかははっきりとは特定されていませんが、透析効率が悪いほどかゆみが出やすくなりますので、十分な透析がかゆみ対策の基本です。
 当院では、高性能膜ダイアライザーを使った十分な透析でもかゆみが改善できない場合、血液透析ろ過(HDF)を受けていただいております。血液透析ろ過では、通常の透析では抜けにくい大きな毒素を効率よく抜くことができるため、頑固なかゆみの軽減に効果が期待できます。


その他の対策
 衣類は、化学繊維やウールは皮膚を刺激します。肌着は木綿にしましょう。

 背中などのかゆみには、軽く絞った熱いタオルで拭くのが効果的な場合があります。透析中ならスタッフに消毒用のアルコールで拭いてもらっても結構です。拭いた後は必ずかゆみ止めや保湿用の軟膏・クリームを薄く塗りましょう。

 シャント部や穿刺部などがかゆい場合は、氷のうなどで冷やすのがいいでしょう。透析中であれば、透析液の温度を下げることでかゆみが軽くなることがあります。

 イライラすると、掻くことによってますますかゆみが増しますので、気分転換やリラックスをすることで掻きたい気持ちを紛らわせましょう。また、掻いたらダメと思えば思うほどかゆくなります。掻かないのにこしたことはありませんが、どうしても掻きたい時は皮膚を傷つけないように掻いてください。掻いた後は、保湿剤やかゆみ止めを必ず塗りましょう。



かゆみに対して、自分で判断してむやみに薬をぬり、間違った治療をすると悪化することがあります。かゆみが出てきたら、気軽にご相談ください


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