ブログ

新年ごあいさつ

「さざんか」
撮影:平成18年1月3日

新年明けましておめでとうございます。
いよいよ平成18年(2006年)の幕明けです。皆様体調はいかがでしょうか。昨年暮れより記録的な寒さが続いています。それに伴ってインフルエンザ、嘔吐下痢症(感染性胃腸炎)などが流行しています。どうかこの厳しい寒さに対して保温、加湿、うがい、手洗など充分な対策をたてられ前記の感染症などにかからないように気をつけていただきたいと思います。

さて、今年は4月に大幅な医療費の改定(切り下げ)が実施されようとしています。ますます国民に大きな負担が強いられようとしています。しかし、三島クリニックでは今年一年医療費の切り下げに屈することなく、逆にますます医療内容の充実をはかってゆきたいと考えていますので御安心ください。つまり、当院では診断面におきましては後程御説明致しますように、すでに造影剤を使わずにシャントを描出する超音波装置を導入致しましたし、治療面でもHDF以外に無酢酸生体適合濾過法(AFBF)など一層高度な透析医療を実施していこうと考えています。大いに期待していただきたいと思います。

ただし当然のことですが、皆様の体調を良好に維持するにはやはり透析者の守るべき基本的事項をきちんと遵守することが最も大切であり、適正なカロリー摂取、カリウムやリンや水分の制限などを上手に行うことが必要であることは言うまでもありません。この点はよろしくお願い申し上げます。そして充分な血液透析をうけていただき今年一年体調を良好に維持して乗り切っていただきたいと思います。

私共もスタッフ一同大いに頑張りますので、御協力の程よろしくお願い致します。

理事長 溝渕 正行

 

カリウムについて

カリウムは体の中で最も多いイオン(電気を持った粒)で、主な働きは筋肉の収縮や神経の働きを保つことです。腎臓の働きが正常な場合は、たくさんのカリウムを摂取しても尿に余分なカリウムが排泄されるため、血液中のカリウム値は3.5~5.0 mEq/Lの正常値に保たれます。

しかし、透析患者様では尿中にカリウムが排泄されないため、血液中のカリウム濃度は高くなります。血液中のカリウム濃度が高い状態を「高カリウム血症」といいます。

カリウムは、特に心臓のリズム調整と関係が深く、血液中のカリウム濃度が必要以上に高いと不整脈や心停止を起こすことがあります。カリウムが正常値よりわずかに高い7.0 mEq/Lを超えるといつ心臓が止まってもおかしくないといわれるくらい危険なものです。
カリウムは生死に直接関わる重要なもの」ということを肝に銘じ、検査データの血清カリウム値は5.5mEq/L以下を目標に常に注意を払ってください。

 

高カリウム血症の原因

高カリウム血症の主な原因は次のようなものです。

  • カリウムを多く含む食品のとりすぎ

高カリウム血症の最大の原因は、カリウムを多く含む果物・生野菜・いも類・豆類などの食べすぎです。

  • 栄養不足(カロリー不足)

栄養不足(カロリー不足)があると、体の細胞が壊れ、壊れた細胞から血液中にカリウムが出てきて高カリウム血症になります。

  • 透析不足

透析時間が短かったりシャントの血流が悪いと透析不足になり、十分なカリウムが抜けないため高カリウム血症になります。

  • 消化管からの出血(下血)

消化管内に出た赤血球が壊され、その壊れた赤血球内にあった多量のカリウムが吸収されて高カリウム血症になります。

 

高カリウム血症の症状

高カリウム血症では次のような症状が出ます。

神経や筋肉の症状
口の周りがしびれる
口がこわばってものが言いにくい
手足がしびれる(手足に力が入らない)
体が異常にだるい

消化器症状
吐き気、腹痛、下痢などがおきることがあります。

心症状
胸が苦しい 脈が乱れる  動悸がする

軽度の高カリウム血症では症状が出ないことが多いのですが、症状が出現するとすでに危険な状態となっています。さらに心臓に関する症状が出現すると今や死が迫っていると考えなければいけません。日頃からカリウムを下げる薬を余分に持っておき、高カリウム血症が疑われる症状が出たら、それを1包(症状が強い場合は2包)飲んだ後すぐに病院へ連絡してください。

 

高カリウム血症の予防

高カリウム血症を予防するには、カリウムの多い食物をひかえ、十分な透析を行うことが大切です。カリウムが高めの方は、食事について栄養士と相談のうえ、どんな食品にカリウムが多く含まれているか、どうすれば食事のカリウムを減らすことができるかよく勉強してください。

詳しいことは栄養士に聞いていただくとして、食事のカリウムを減らす工夫や主な注意点を簡単にまとめてみます。

  • カリウムの多い食品を一度に食べない。
    例:野菜、果物、いも類、豆類、海草、肉、魚
  • 野菜やいも類はゆでて、ゆで汁は捨てる。
    カリウムはゆでられると、野菜やいも類からゆで汁に出てくる。ゆでてゆで汁を捨てることによってカリウム含有量を約三分の一に減らすことができる。
  • 生野菜は細かく切って水にさらす。
  • 生の果物は控えめにして、できるだけ缶詰でとる。(シロップは捨てる。)など

です。

 

カリウムは突然死の原因になりますので、十分気をつけていただきたいと思います。

 

お知らせ 「新しい超音波画像診断装置の導入」

このたび、従来の超音波診断装置に比較して画像が鮮明で、多彩な機能を持った新しい超音波診断装置(アロカ社製:プロサウンドSSD‐3500)を導入しました。診断精度が向上し、心臓をはじめ腹部臓器の病変の診断に今まで以上の効果を発揮します。

さらに、透析患者様のブラッドアクセス(シャント)の観察と評価を行うための超音波血管VOL装置も同時に導入しました。超音波血管VOL装置によって、造影剤を使用することなくシャント血管の画像を短時間(準備を含めて数分間)で描出することができます。

今後、この装置をシャント血管の静脈瘤や狭窄などの合併症の発見や穿刺ポイントの確認などに活用していきたいと考えておりますので、ご期待ください。

 

患者様からの投稿「ままごと」白石 るみ(透析歴33年5ヶ月)

私が当院でお世話になり始めた平成9年に比べ今は患者数も2倍になり、先生にはますます御忙しくなられた事でございましょう。

皆様、花は好きですか。 幼い頃我家では母が趣味でいろいろな花を作っていたものですから、飯事(ままごと:辞典によれば子供が炊事のまね事をして遊ぶ遊びとあります)にずいぶん重宝しました。今思えば丹精して作ったものを遠慮もなく千切り取っていくのですから花も作者もたまりませんが、叱られた記憶も一度もありません。

大きな花は花びらをばらしたり切ったり、小さい物は形のまま色どりよく器に並べ、想像力よろしくご馳走が出来あがります。材料としては菊の花が最高で、今こそ年中見られますがその昔50年前には夏と秋しかありませんでした。しかし、夏には白・黄色位しかなく秋になって花の大きさ、色の種類もぐっと増えてきます。色とりどりの花のその匂いは子供心にも高貴に感じました。現在花の種類も随分増え良い匂いの花もたくさん出てきていますが、今でも菊の花の匂いがどんな高価な花より私を覚醒させてくれます。東北では菊の花を和物、汁の実などに使っていますが、贅沢なような又食文化が一段高いように感じるのは私だけでしょうか。

ご馳走の最高の作品は巻きずしで海苔は蕗(ふき)の葉です。葉を広げその上に花びらを色よく並べクルクル巻くと出来上り、何本も作り次々半分に切っていきます。切り口が色どりよく見えた時のうれしさは格別ですがあの蕗の葉がなんとも臭く花の匂いが消し飛んでしまいますが、海苔の材料としては最高でした。それにあの変に臭かった蕗も葉は食べませんが大人になった今大変おいしくいただいています。
花で遊んだ頃からはや半世紀も経ちました。振り返ってみれば花がらみのことは一杯あります。これからも花で楽しんでいけるといいなと思っています。