「検査データの見方」についての説明は、今回で最終回です。御自身の検査データに関心を持って、常に注意を払うことはとても大切なことです。検査について疑問に思うこと、検査値の推移などについてお知りになりたい時はいつでもお気軽にご相談ください。
アルカリフォスファターゼ(ALP)
目標値 350以下
骨の異常がすすむと上昇します。また、肝臓に障害がある場合にも上昇します。
LDH
目標値 245以下
エル・ディ・エイチと読みます。肝臓に障害がある時や心臓の疾患があるときに上昇します。
ZTT
目標値 12以下
ゼット・ティ・ティと読みます。肝臓に慢性的な障害がある時に増加します。
アミラーゼ (AMY)
目標値 400以下
主に膵炎がある場合に上昇します。(透析患者さんでは、腎臓からのアミラーゼの排泄が低下するため膵炎がなくてもアミラーゼが上昇します。健常人の正常値上限の3倍以内なら特に心配はいりません。従いまして、目標値を400以下に設定しています。)
β2ミクログロブリン( β2MG)
目標値 30(mg/L)以下
ベータ・ツー・ミクログロブリンと読みます。(ベータ・ツー・マイクログロブリンということもあります。)腎臓で壊される蛋白質の一種なので、透析患者さんでは高値になります。β2ミクログロブリンは、全身の骨や関節に沈着して透析アミロイド症(アミロイド骨関節症、手根管症候群など)を引き起こす原因物質なので、できるだけ低値を保つように透析治療を行います。目標値は30mg/L以下ですが、20mg/L以下に保つのが理想です。
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ビオラ
撮影:2007.11.15 |
血糖(BS)
目標値
糖尿病を合併していない方
空腹時 110mg/dl以下
食後2時間後 140mg/dl以下
糖尿病を合併している方
空腹時 140mg/dl以下
食後2時間後 180mg/dl以下
血糖は、いわゆる血糖値のことで血液中のブドウ糖濃度を示します。血糖は空腹時が一番低く、食後どれくらい時間が経過したかで変わってきます。糖尿病を合併していない方でしたら、空腹時で110mg/dl以下、食後2時間程度たった時点で血糖が一番高い状態になった時で140mg/dl以下が目標値です。糖尿病を合併している方は、低血糖の危険性を考慮して少し高めの目標値を設定しています。
ヘモグロビンA1C
目標値
糖尿病を合併していない方 5.8%以下
糖尿病を合併している方 6.5%以下
ヘモグロビン・エイ・ワン・シーと読みます。過去1~2ヶ月前の血糖の平均値を反映し、高血糖状態の期間が長いほど高値を示します。
血清総蛋白(TP)
目標値 6.5g/dl以上
栄養状態や健康状態の指標となります。6.5g/dl以上が目標値です。
血清アルブミン(ALB)
目標値 3.6g/dl以上
アルブミンは血清蛋白中の約70%を占める蛋白質です。栄養状態が悪い時や肝臓に障害がある時に低下します。3.6g/dl以上が目標値ですが、できれば4.0
g/dl以上が理想です。
総コレステロール(T‐Cho)
目標値 180mg/dl以下
コレステロールが高いと動脈硬化の原因になります。しかし、栄養状態が悪いと逆に低
くなります。総コレステロールが140mg/dl以下では、栄養不良と考えられます。
HDLコレステロール(HDL‐Ch0)
目標値 40mg/dl以上
エイチ・ディ・エル・コレステロールと読みます。動脈硬化を抑える作用があるため善玉コレステロールと呼ばれています。目標値はできれば40mg/dl以上としたいです。
LDLコレステロール(LDL‐Cho)
目標値 100mg/dl以下
エル・ディ・エル・コレステロールと読みます。高値になると血管壁に沈着し動脈硬化が進みやすいといわれています。そのため、悪玉コレステロールと呼ばれています。
中性脂肪(TG)
目標値 150mg/dl以下
血液中の中性脂肪が多くなると動脈硬化性疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)の原因となります。また、肥満との関連が強く、中性脂肪と肥満度は比例します。
以上で定期検査の項目の説明を終わります。機会をみて臨時的に行われている検査についても簡単な説明をさせていただこうと考えております。