リンについての話

            
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 リンは本来、骨や細胞あるいは遺伝子の重要な成分で、体を動かすエネルギーを作るのにも必要な成分です。しかしながら、透析患者さんでは、腎臓からのリン排泄ができないため、どうしても高リン血症になってしまいます。この高リン血症が長期透析をしていく上で重大な合併症を引き起こします。

 「高リン血症がなぜいけないのか」についての話を始めると非常に長くなり、分かりにくい部分も多くなりますので、今回は結論だけをぜひ覚えてください。

高リン血症になると血管の石灰化(動脈硬化)が起こります。
 高リン血症になると血管にカルシウムとリンが沈着して、石灰化(動脈硬化)を起こします。本来、カルシウムは骨や歯に沈着しますが、体の中のリンが過剰になるとカルシウムと結合して、骨や歯以外の様々なところにハイドロキシアパタイトとして沈着してしまうのです。
 一般的な動脈硬化では、血液中のコレステロールや脂肪などが血管に沈着しますが、透析患者さんではこれらに加えて石灰化という危険因子がプラスされるため、動脈硬化が進行しやすい状態になっています。

 硬くなった血管では充分な量の血液を送ることができません。

血管が石灰化して、動脈硬化が進行すると心血管疾患を引き起こします。
 心血管疾患とは、主に
狭心症心筋梗塞心不全不整脈脳梗塞脳出血などのことをいい、いずれも生命にかかわる疾患です。
 また、
閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患)が起きることもあります。閉塞性動脈硬化症では、下肢の動脈が詰まり、冷感、間欠性跛行(かんけつせいはこう→歩くと下肢が痛くなる)や安静時にも痛みが生じたりします。
 閉塞性動脈硬化症により足の血流が極端に低下すると壊疽(えそ→からだの組織の一部分が死んだ状態になること)を起こします。足の壊疽がひどくなると足を切断しなければならない場合もあります。

高リン血症の予防には、「リンの摂取を控える(リンを多く含む食品をなるべく避ける)・十分な透析(一回の透析に時間をかけるか、または回数を増やす)を行い血液中のリンを除去する・リン結合剤(食事中のリンを体内に吸収させないお薬)を必ず服用する」ことが必要です。

現在使用されているリン結合剤
カルタン(沈降炭酸カルシウム)
○カルシウムの補給に役立つ。
○ビタミンD製剤と一緒に服用すると高カルシウム血症になりやすい。

レナジェル(塩酸セベラマー)
○カルシウムもアルミニウムも含まない。
○ビタミンD製剤と一緒に服用しても高カルシウム血症になりにくい。
○リン吸着力はやや弱い。
○お腹の中で膨らむので、腹部膨満感や便秘が起こりやすい。

ホスレノール(炭酸ランタン)
○カルシウムもアルミニウムも含まない。
○ビタミンD製剤と一緒に服用しても高カルシウム血症になりにくい。
○リン吸着力は強い。
○噛砕いて服用する薬なので、水なし、あるいは少量の水で服用できる。
○はき気、おうと、便秘などの副作用が起きることがある。
(便秘は他のリン結合剤に比較して少ないといわれている)

 どのリン結合剤も食事直後に服用してください。
 リン結合剤は胃の中で食物と交じり合って、食物中のリンと結合することによってリンを便とともに体外へ排泄させる薬です。

 カリウムと違って、リンは高くても直ちに生命に危険があるというものではありませんが、リンをコントロールすることは心臓や血管を守るために非常に重要なことで、それが長生きにつながるということをご理解いただき、リンにはくれぐれも注意してください。



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