患者様からの投稿

「ゼロからの出発」

            
 
      石川 保 透析歴27年(途中移植8年)

                          

 今年の四月から三島クリニックでお世話になることになりました。ここに来てまず透析の医療水準の高さに驚きました。また先生をはじめスタッフの方々のきめ細かな心配りにも、大変感謝しています。
 自分は透析を始めてもう27年(移植8年)になりました。順調だった身体も、最近では膝と肘の関節炎に悩まされています。でもなんとかやってこれたのは、27年前のある出来事があったからかもしれません。
 当時入院していた三豊総合病院で透析導入となり、将来に対して絶望と不安の中で、自暴自棄になっていました。何をする気もなく何日か過ぎ、ある時病院のロビーでぼんやり外を眺めていました。すると「どこが悪いんな?」と声をかけてきたのは、見知らぬおじいさんでした。「腎臓です。」「若いのにそんなに悪いんな?」「悪いなんてもんじゃないよ。透析やから。」とぶっきらぼうに答えました。すると「それなら、それ以上悪くなりようがないな。」と言われ、自分も「そうや、これ以上マイナスにはならんよ。」と返したら、ちょっとおかしくなって笑ってしまいました。おじいさんがその場からいなくなって、今笑ったことで少しだけ気が楽になったように感じました。そして自分の「これ以上マイナスにならん。」と言った言葉を何度も想い返していました。
 何もかも失ったらそこがゼロ。マイナスにならなければゼロからまたやり直せばいいのかな。生きて人生やってたら、ひとつふたつと築けることもあるのかな。とか考えたりしていました。それから透析治療にも前向きに向きあえた気がします。あの時ぶっきらぼうに答えた自分に、機転のきいた言葉をかけてくれたおじいさん。今でも感謝しています。


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