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平成23年新春

明けましておめでとうございます(少々遅くなりましたが)。昨年末より今年初めにかけては昨年の夏とは裏返しのような何十年ぶりかの厳しい寒さとなっています。インフルエンザが猛威をふるい始めていますし、また感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)もまだまだ勢いが衰えていません。外出時のマスクの着用、外出から帰宅後のうがい、手洗いを実行していただいて、どうかこれらの感染症から我が身を守ってください。
平成23年ははたしてどのような年になるのでしょうか。政局においては通常国会も始まりましたし、与野党の論戦を通して内政(ことに社会福祉や医療面)や外交面(対アメリカ、ロシア、中国政策など)での政府の取り組み方をしっかり見定めて国民側から政治をコントロールしてゆく必要があるように思います。
三島クリニックと致しましては、今年の目標は可能ならば透析室の大幅な改修を致しまして、皆様方の居住性の向上を目指していきたいと考えています。具体的にはロッカールーム、食堂、透析空間などを気持ちよく過ごせるような状態をめざしたいと考えています。
もちろんソフト面の充実も今迄通りいや今迄以上に考えていきたいと思っています。すなわち恒例の著名外来講師による講演会、皆様方のための娯楽会、スタッフ勉強会、製薬メーカーの講演会、接遇講習会などを更に充実していきます。また、時節に応じた(タイムリーな)疾患講習会などを取り入れていければと考えています。
どうか皆様方も健康を維持してゆくうえで守るべき点をきちっと認識いただきましてより良い透析に御協力いただければと思います。

理事長 溝渕 正行

 

「カリウムに気をつけましょう」

カリウムは筋肉や神経の働きに不可欠な成分ですが、腎機能が低下している透析患者さんにとっては直接死につながる恐ろしい物質です。カリウムは、これ自体で心臓を止めてしまう働きがあります。高カリウム血症/頓死(とんし)は、わが国の透析患者さんの死因の第5位で、死亡全体の4.7%(1165人;2009年1年間)の割合を占めています。これは、日本全国の透析患者さんのうち、毎日平均3.2人が「高カリウム血症」で死亡していることになります。ですから、血液検査で「カリウムが高い」ということを決して甘くみないでください。
血清カリウムの目標値は透析前で5.5 mEq/L以下です。カリウムの値が6.0 mEq/Lを超えたら要注意です。6.5 mEq/L以上になると心臓が大きなダメージを受け、不整脈や心停止(心臓マヒ)を起こす危険性があります。

高カリウム血症ではこんな症状が現れます

口の周りがしびれる,口がこわばってものが言いにくい,手足がしびれる(手足に力が入らない), 体が異常にだるい,胸が苦しい,脈が乱れる,動悸がする

などが主な症状です。吐き気、腹痛,下痢がおきることもあります。

軽度の高カリウム血症では症状が出ないことが多いのですが、症状が出現するとすでに危険な状態となっています。さらに心臓に関する症状が出現すると今や死が迫っていると考えなければいけません。日頃からカリウムを下げる薬を余分に持っておき、高カリウム血症が疑われる症状が出たら、それを1包(症状が強い場合は2包)飲んだ後すぐに病院へ連絡してください。

 

血液検査でカリウム値が高い時の7つのチェックポイント

① 野菜、果物の食べる量は多くありませんか?
② 豆類(大豆、納豆、煮豆、ピーナッツなど)は多くありませんか?
③ いも類は食べ過ぎていませんか?
④ 海そう類(ワカメ、コンブなど)は多くありませんか?
⑤ 100%果汁のジュース、野菜ジュースなどは飲みませんでしたか?
⑥ 肉や魚、牛乳は摂取しすぎていませんか?
⑦ 食事の全体量、食事のバランスに問題はありませんか?

カリウム制限食のポイント(食事を作るときの工夫)

カリウムは水に溶けやすい性質を持っています。調理の時に、①細かく切る、②よく洗う・さらす、③ゆでる(ゆでこぼす)を十分に行えば、食材に含まれるカリウムを減らすことができます。

ゆでるとカリウム量は生の食材と比べて…

キャベツ  → 約50%減
ほうれんそう → 約30%減
じゃがいも → 約20%減
なす     → 約20%減
だいこん  → 約10%減

(注意)電子レンジによる下ごしらえではカリウムは減りません。
高カリウム血症を予防するには、カリウムの多い食物をひかえ、十分な透析を行うことが大切です。カリウム値が高めの方は、食事について栄養士と相談のうえ、どんな食品にカリウムが多く含まれているか、どうすれば食事のカリウムを減らすことができるかよく勉強してください。

 

「栄養室より」

管理栄養士 高石 美由紀

たんぱく質(プロテイン)ってなあに?~プロテインの語源は、ギリシャ語の「第一のもの」~

たんぱく質は、人間の体に必要不可欠な栄養素の1つで、筋肉・皮ふ・血液・内臓など、体をつくるもとになります。体のはたらきを調節するホルモン酵素という物質の原料にもなります。体を守る抗体にもなります。
たんぱく質は、とり過ぎると腎臓に負担がかかり、逆に不足すると体を構成するたんぱく質を分解して不足分を補うため、体力や免疫力が落ちます。血管が弱くなり、脳卒中の危険も高まります。

たんぱく質は、アミノ酸とアミノ酸がペプチド結合してできたもので、結合したアミノ酸の数が、10個程度の場合をオリゴペプチド、数十個の場合をポリペプチド、約80個以上の場合(分子量が1万以上)たんぱく質といいます。
たんぱく質には、アミノ酸の種類や量、配列順序によっていろいろな種類があります。検査値にでてくる血清アルブミンヘモグロビンも数あるたんぱく質の名称のなかのひとつです。 よく聞く、コラーゲン(皮、骨に存在)やケラチン(爪、髪に存在) もたんぱく質の名称のなかのひとつです。
健康食品の宣伝によくでてくる、アミノ酸やペプチドやたんぱく質(コラーゲンなど)の意味や関係がなんとなくわかりましたか?
肉や魚や卵や豆腐などの適量を覚えて、たんぱく質を上手にとってください。

 

「当院物療室での牽引療法について」

介護予防運動指導員(物療室)外山 早苗

牽引療法とは腰椎や頸椎を引っぱったり、緩めたりして周辺の筋肉の緊張をやわらげ、局所の安静、整復や疼痛の軽減などをはかる治療法です。
当院物療室では頸椎と腰椎の電動間歇牽引(電動で牽引と休止を交互に行う方法)が行われています。

*いずれも医師がレントゲン写真での確認を終えて牽引が必要か判断します。

*特に腰椎牽引については当院では、従来の牽引台の他にいすに座った状態からそのまま牽引姿勢にリクライニングし、強さも自動設定できる新しい牽引台もあります(オルソトラック ラセディア;右の写真です)。患者様は座るだけでよいので負担も少なく、お年寄りや腰痛の方などにとても好評です。
牽引というと怖がる方がいらっしゃるのですが、初めての方でも安心して使っていただいています。