「透析患者さんのための災害対策」 ~地震災害に備えて~ |
|
43号メインページに戻る | |
震災、津波など自然災害は、いつ何時、どこに襲ってくるか、現在のところまったく予想がつきません。また、災害により透析が予定通り行えない可能性が考えられます。そのため、事前に大規模災害を想定した準備が必要です。 【平常時の心得】 ①「自分の身の安全は、自分が守る」という基本的考えを持ちましょう。 ・災害をなくすことはできませんが、被害を少しでも減らすことは今からでも取り組むことができます。 地震への備えについて 家具の移動・転倒防止対策をする。 高い所に割れ物をおかないようにする。 食器が飛び出さないようにするために食器棚対策をする。 ガラスの飛散対策をする。 避難通路に物を置かないようにする。 火災への対策をする。 バケツや、消化器の用意をしておく。 風呂水の残り湯を捨てない。 夜間地震への対策をする。 懐中電灯を用意する。 断水への対策をする。 被災時用の飲料水。 給水を受けるための容器。 携帯電話は常にフル充電しておく(できれば簡易充電器の用意も)。 ②家族で災害時の対応について話し合っておきましょう。 ・家族の方に、自分が透析を受けている施設名と場所を確認しておいてもらいましょう。 透析施設名 三島外科胃腸クリニック 電話番号 (0896)24-3111 住所 愛媛県四国中央市中之庄町116 ○万が一の際の家族との連絡方法や集合場所を確認しておきましょう(家族の連絡先などを記載したカードを作成し携帯しておきましょう。)また、避難経路、避難場所についても確認しておきましょう。 (ほとんどの自治体で、指定避難場所は最寄りの学校や公民館になっています。) ○透析に行く途中に被災した場合は、自宅に戻らず透析施設に向かうことを家族に伝えておきましょう。 ③隣近所の人や親戚などに、災害時における避難や通院の援助、情報の提供などについて依頼しておきましょう。 ④自宅で夜間に被災した場合ガラスなどで足をけがしないようスリッパや運動靴(スニーカー)を手近に用意しておきましょう。(避難の際の履物は、スリッパよりも運動靴のほうが安全です。) ⑤非常用持出袋などを用意しておきましょう。 (非常時の持ち出し品 一例) 常備薬 非常食 飲料水(健常人の半分が目安です:1日750ml程度) 保険証・特定疾病療養証・身体障害者手帳のコピー、 懐中電灯 ラジオ 予備電池 現金(硬貨) タオル 運動靴(スニーカー) 長袖の上着 厚手の手袋 ろうそく など 被災地に救援物資が届くまでには3日かかるといわれています。持ち出し品はこの3日間に必要なものを用意しておきましょう。 ※ 現在(平成23年4月現在)は「買いだめ」は自粛してください。 ⑥保険証などを常時携帯して、住所・電話番号など連絡先が変更になった場合は必ず申し出てください。 ⑦透析条件の書かれた『透析情報カード』を携帯しておいてください。 また、自分のドライウェイトは覚えておいておきましょう。 ⑧薬の処方内容を携帯しておきましょう。緊急時でも内服の必要がある薬を確認し書き留めておきましょう。 ⑨NTT災害用伝言ダイヤルの使い方を練習しておきましょう。 これは、『171』にダイヤルする方法で、施設や家族が録音した内容を聞くことができるとともに、自分の情報を伝えることもできます。『171』にダイヤルしたらガイダンスが流れますので、それに従ってボタンを押せば録音と再生ができます。(毎月1日と15日に練習できます) 【透析を受けていない時に災害を受けた場合の対応】 地震発生時の防災心得 自分の身の安全を守る。 揺れを感じたら、すばやく火の始末をする。 火が出たら、まず消火する。 あわてて戸外に飛び出さず、出口を確保する。 避難は徒歩で、持物は最小限にする。 狭い路地、塀のわき、がけ、川べりに近寄らない。 山崩れ、がけ崩れ、浸水に注意する。 避難時には、ブレーカーを切り、ガスや水道の元栓を締めましょう。 海岸沿いに生活する人は地震が起きたらまず津波の心配を! 気象庁では津波の発生のおそれがある場合には、地震発生からおよそ3分を目標に津波警報、または津波注意報を発表しています。しかし、津波予報が発表される前に、津波が押し寄せてきた例もあります。 海岸で揺れを感じたら、すぐに高台へ避難することが大事です。 ①病院に連絡をして下さい。 現在の避難場所や被災状況を病院に連絡してください。 状況確認のため、病院スタッフからご本人あるいは連絡先のご家族の方へ連絡をすることがあります。 (注)災害時には、一般家庭の電話・携帯電話からの通話は規制がかかり通じにくくなります。公衆電話は災害時優先電話となりますので、公衆電話を使った方が通じやすいです。また、NTTの災害用伝言ダイヤル『171』の活用してください。 ②食事管理に気をつけましょう。 阪神・淡路大震災の時は、透析間隔が4日以上あいてしまった人が全体の1割を超えていました。大災害が発生したら、予定通り透析を受けられない最悪の事態も想定しておかなければなりません。このようなことから、平時より一層厳格な食事管理をすることが重要です。 ○ 熱量(エネルギー)の確保に努めましょう。 ○ カリウムの多い食品は控えめにしましょう。 ○ 水分量は最低限に抑えて、体重増加を防ぎましょう。 ○ 塩分の高い食品は控えめにしましょう。 食べることを極端に控えすぎると熱量(エネルギー)不足のため体力が低下すると同時に、身体が自分の組織を分解してエネルギーを得ようとします。この時、多くの尿毒素とカリウムが血液中に出てきます。従いまして、カリウムの多い食品は控えながらカロリーのある食品、例えば、ご飯・パン・ビスケット、キャンディなどをできるだけ食べましょう。 水分摂取については、夏場に被災し停電や器材の不足などから冷房器具が作動せず、酷暑の環境も予想されます。透析患者さんでは、一般に水分を控えることは大切ですが、これらの状況によっては適正な水分摂取にも心がけてください。 ③薬の内服をきちんとしましょう。 災害時に忘れがちなことが、薬をきちんと飲むことです。薬には、2~3日飲まなくてもすぐに身体に影響が出ないものと、一回でも飲まないと身体に影響がでるものがあります。薬の作用を把握しておき、心臓の薬(ニトログリセリン製剤)・血圧降下剤・カリウムを下げる薬・糖尿病の薬などは欠かさず飲みましょう。 (インスリンを注射している方も忘れずに) 糖尿病のある方は、血糖自己測定機器を必ず携帯するようにしましょう。 また、低血糖症状を起こした時のために、ブドウ糖キャンディやブドウ糖を多く含む食品を常備しておきましょう。 【透析中に災害が起きた時の心得】 大きな揺れも十数秒で必ずおさまります。あわてず、落ち着いて、透析スタッフの指示に従ってください。揺れている間は透析スタッフもその場で動かないことになっておりますので、皆様も起き上がったり、床に立ち上がったりしないようにしてください。 ①穿刺針が抜けないように血液回路をしっかり握り、ベッドにつかまって、振り落とされないようにしましょう。 普段からベッドはストッパーをかけておりますが、監視装置(透析装置)のキャスターはロックをかけず移動可能にしています。(過去の地震の経験からベッドも監視装置もある程度動くようにしておく方が安全だと報告されています。) ②布団や毛布等をかぶって蛍光灯などの落下物を防ぎながら揺れがおさまるのを待ってください。 ③透析継続、透析中止及び緊急離脱について 透析継続が可能な状況の場合 停電になっても10秒以内に自家発電が作動しますので、透析は通常通り続けますが透析時間を短くする場合もあります。 透析継続が不可能な状況の場合 透析は直ちに中止します。時間的余裕があるようなら通常通りの返血操作を行います。 針を抜いた後スタッフが押さえて止血することはできませんので止血ベルトを使用していただきます。(止血ベルトはベッドの柵に設置している「緊急離脱セット」の中にあります。) 返血を行う時間的余裕がない場合は、返血せずに針を抜き、止血ベルトを使用して止血します。 《透析歴の長い患者さんは、緊急離脱の際は血液回路に鉗子(かんし)をかけてハサミで回路を切断するということをお聞きになっているかもしれませんが、緊急時にハサミで切断というのはリスクが高いため行いません。》 ④避難について 透析中止後、地震により火災や建物の倒壊など危険が目前に迫っている場合以外は、避難はしませんので指示があるまで透析室内で待機してください。 避難が必要な状況の場合は、スタッフの誘導に従って透析センター前の駐車場に避難してください。 スタッフが人数・状態を確認した後、指定避難先である『中之庄公民館』あるいは『中之庄小学校』へ避難します。 (『中之庄公民館』、『中之庄小学校』は当院の正面玄関から南へ100m程度の距離にあります。) 地震が発生した場合、透析室スタッフの指示に従って冷静な行動をお願いします。 |
|
43号メインページに戻る |
43号メニューに戻る |