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「初春」

少々遅くなってしまいましたが、あらためて新年おめでとうございます。皆さんお元気ですか?今年のお正月は幸い天候に恵まれ良い一年のスタートが切れましたが、一月も後半となり一年中で最も寒さの厳しい時期となってまいりました。寒くなると毎年のようにインフルエンザや感染性胃腸炎(ノロウィルスを含む)が大流行してまいります。今年も例外ではなく今やインフルエンザが大流行しています。愛媛県も濃厚感染地区になっています。栄養をバランス良くしっかり摂ってインフルエンザにかからないようにしましょう。
今回の三島クリニック透析室ニュースでは「インフルエンザのお話」と「バランスの良い透析食」の話題を提供させていただきますので、しっかり読んでいただいてインフルエンザや感染性胃腸炎を予防しましょう。また、新春恒例のクロスワードパズルに解答して幸運をつかんで下さい。

理事長 溝渕 正行

 

インフルエンザに備えましょう

副院長 溝渕 剛士

今回はインフルエンザについてお話をさせていただきます。
昨年は全国的にインフルエンザワクチンの不足もあり、インフルエンザ感染症が透析患者さんに限らず大流行した年でもありました。今年は少しでもインフルエンザ感染を減らすために今一度インフルエンザについての正しい知識と、患者さん自身で是非していただきたい対応策などについてお話しできればと思います。

① 風邪とインフルエンザの違いは?

② インフルエンザにはどうやって感染する?

インフルエンザの感染経路には、飛沫感染接触感染の2種類があります。

透析患者さんは、免疫力が低下しているため喘息患者や糖尿病患者などと共にインフルエンザのハイリスク群であり重症化しやすく、また死亡率(5% ; 一般人の約10倍)も高い事が知られております。そのため人一倍感染を受けないように“普段からできることをし続ける”必要があると思われます。

 

③ インフルエンザに感染しないようにするにはどうすればいい?

・流行前にワクチンを接種する

発症する可能性を減らし、もし発症しても重症化するのを防止します。一般的には
5か月ほど効果が持続します。もしまだ患者さんの中でインフルエンザワクチンを接
種していない方がいれば是非ワクチン接種を検討してください。

・飛沫感染・接触感染を防ぐために手洗いをしましょう。
外出後には流水と石鹸による手洗いをしましょう。インフルエンザウイルスにはアルコール製剤による手指衛生も効果があります。そのため当院透析施設の各位置に設置しておりますので今年は特に意識して透析前や透析後に1-2プッシュし手指衛生を心がけてみましょう。
また咳エチケットを守りましょう。咳エチケットとは他人に感染させないために、個人が咳・くしゃみをする際にマスクやティッシュ・ハンカチ、袖を使って口や鼻を押さえることです。
咳エチケット
1.マスクを着用する。 2.ティッシュ・ハンカチなどで口や鼻を覆う。 3.上着の内側や袖(そで)で覆う。

④ インフルエンザにかかってしまったらどうしたらいいか?

透析施設は、集団で長時間にわたり透析治療を行うことやインフルエンザ罹患後も通院透析を継続する必要があるため早期に特別な対策が必要となります。
透析患者さんがインフルエンザに罹患したら次は御家族、他の患者さんなどを含めうつさないようにする事が非常に大事であります。そのため自宅で体調不良や高熱が出た際には、まずは当院までご連絡をして下さい。いつ来院すればいいか、その日の診察が必要かどうかを判断し電話で指示させていただきますので、透析室への入室前に必ず診察をしてもらうよう心がけてください。また万が一透析が始まった後に高熱や体調不良を自覚した際にはすぐにスタッフに申し出てください。

今年からは従来のタミフルなどの内服薬(ウイルスの拡散を抑制)だけではなく、ゾフルーザ(拡散だけではなくウイルス自体が増殖するのを抑制)といった注目新薬も使用可能な状態であります。(ゾフルーザ内服薬によりインフルエンザの家族内感染が減少、また今後は学校・職場への出席停止期間などの短縮も非常に期待されるそうです)
しかしゾフルーザを内服したとしても、インフルエンザに感染直後は感染力が非常に強いため、従来通り透析日を月水金の午後透析へ変更しての隔離透析、また感染時の送迎バスの利用は約1週間控えていただきますので御理解ください。
早期診断、早期加療また適切な感染拡大予防を行い当院でのインフルエンザ感染の流行を少しでも抑えるようにしましょう。

⑤ 当院からのお願い(まとめ)〜院内感染予防のために〜

<透析しない日には>

サージカルマスクをつける事。
手で顔(目、鼻、口)に触れないようにしてください。
外出後はうがい、手洗いを遵守してください。
可能であれば自宅でも加湿器を使用してください。
歯垢にはウイルスがつきやすいので、歯磨きも感染予防に有効です。

<透析日の日には>
まずは自宅で体温測定を行ってください→もしインフルエンザ様の症状(38度以上の発熱、全身痛、咳)が出現した患者さんは、透析来院前に必ず連絡してください。
来院時には必ずマスクをしてください。
「咳エチケット」を守ってください。
透析前後での透析室でのアルコール製剤による手指衛生に努めましょう。
疑問点などありましたらスタッフまで質問ください。
今年は「インフルエンザにうつらない!うつさない!」をモットーにしていきましょう。

 

栄養状態をよくするために

管理栄養士 飛鷹 佳枝

バランスのよい食事と適度な運動は、透析患者様に限らず健康であるために大切なことです。特に、エネルギーとたんぱく質が不足すると、筋肉が減少してしまいます。痩せている、体重が減ってきた、アルブミン値が低い、食欲がないなど、気になることはありませんか。適正な栄養量を摂取し、低栄養を予防しましょう。
透析日は食事量が約2割少なくなるといわれています。体重増加を気にして朝食を食べないとエネルギー不足となります。エネルギーが不足すると、人間のからだは筋肉を壊してエネルギーに変えようとするため危険です。たんぱく質の不足を防ぐために、主食よりも肉や魚などのおかずから食べるのもよいです。

体力と抵抗力を保つためにエネルギーを、元気に動ける骨格筋を保つために良質なたんぱく質を摂りましょう。ベースとなるこれらの栄養をしっかり摂ったうえで、ビタミンやミネラル、食物繊維などをバランスよく摂ることが大切です。

①エネルギー、たんぱく質を十分摂るために主食+主菜+副菜2品を基本にしましょう。
②食事量が少ない場合は、間食や治療用特殊食品を利用しましょう。
③成分や分量を調整した食事の準備が困難な場合は、宅配食の利用もよいかと思います。
*治療用特殊食品、宅配食については栄養士までご相談ください。

たんぱく質を含む食品にはリンが含まれています。選び方や組み合わせの工夫が必要となります。日頃から、できるだけリン/たんぱく質比の低いものを選ぶよう心がけましょう。肉類などは、種類や部位を上手に選びましょう。また、たんぱく質を適正量摂って、血中リン濃度を上げないためには、リン吸着薬をきちんと飲むことも大切です。

リン/たんぱく質比 (㎎/g)

★リン/たんぱく質比が、15以下の食品を中心に選ぶようにしましょう。
★植物性たんぱく(豆類、豆腐、納豆など)に含まれるリンは腸管での吸収率が20~40%と低いのでリン/たんぱく質比が15を超えていても大丈夫です。
★動物性たんぱく(肉類、魚介類、卵)に含まれるリンは腸管での吸収率が40~60%です。リン/たんぱく質比も低く優れたたんぱく質ですのでしっかり摂りましょう。
★加工食品(ハム、ベーコン、ウインナーなど)、インスタント食品、ファストフード等には、食品添加物として無機リン(リン酸塩)が多く含まれています。食品添加物のリンの腸管での吸収率は90~100%です。くれぐれも摂り過ぎに注意しましょう。